家具屋さんで食器棚を見ていると、「モイス」という言葉を見かける事があります。いったいモイスとは何なのか、そして、必要な物なのかどうかの個人的な意見です。
モイスとはいったい何なのか?
モイスは、三菱マテリアル建材という会社が開発した建築素材です。特徴には次のようなものがあります。
湿気を調節する
モイスには湿度が高くなると湿気を吸収し、乾燥していると放出する、湿気の調湿作用があり、様々な実験で実証されています。
有害物質を吸着して分解する
モイスは他の建材や家具から発生する有害物質を吸着する作用があります。それは主成分のバーミキュライトという鉱物が、そのような働きを持ち、さらに無害化してゆっくりと分解していくということです。
消臭作用
臭いの成分を吸着して消臭する作用が確認されているそうです。
防カビ作用
カビは弱酸性を好むのに対して、モイスの成分がアルカリ性ということで、繁殖を抑制できるようです。
モイスは食器棚のどこに使われる?
そんな多くの特徴を持つモイスですが、いったい食器棚のどこに使われているのかというと、家電を置くタイプの食器棚の、家電を置いたときにその上に位置する板の部分です。
食べ物に関わる物を収納する場所なので、モイスの防カビ、消臭、有害物質の吸着などの作用も良いのですが、最も役に立つ作用が、湿気を吸収する、という効果です。
湿気を吸収、というと湿度を調節する程度と考えるかもしれませんが、そんなものではありません。
家具屋さんによっては、試させてくれる所もありますが、夏の暑い日にコンクリート(アスファルトではない)に水を掛けたときに、すぐ乾くことがありますよね。あれのもっと凄い感じです。最初見た時は驚きました。
つまり、炊飯器やスチームオーブンなど、蒸気の発生する家電からの湿気を吸収するというのです。
家具にとって水気は天敵です。木や合板は水を含むと膨らんでしまい、特に合板は1度膨らんだら元には戻りません。そんなかわいそうな家具を、家具店にいる時にたくさん見てきました。そのやっかいな水分(水蒸気)を吸収してくれる優れものなのです。
パモウナの食器棚はモイスを使っていない?
これだけ良いことずくめのように思えるモイスなんですが、パモウナの食器棚には使用されていません。パモウナといえば、食器棚を作っている会社では、トップクラスのメーカーです。なぜモイスを使用していないのでしょうか。
パモウナがモイスを使用しない理由
掃除ができない
モイスの表面はざらざらしていて、汚れやすいのに拭き取ることができないから。
水蒸気を吸収する
水蒸気を溜める性質を持つモイスが、食器棚に接しているのはよくないから。
交換しないといけない
モイスには寿命があり、交換が必要、かつ費用などがはっきりしていないから。
これらの理由から、パモウナではモイスを採用していないそうです。
モイスについての個人的な意見
以前、私は家具店で販売していましたが、その時点では、モイスを全面的に進めていたかというと、そうではありませんでした。理由は、耐久性によるものです。
モイスは、確かに水分を吸収するのですが、それがどの位もつのかが、その時点では分からなかったからです。
モイスは小さな穴がたくさん空いている事で、蒸気などを吸収しているのですが、汚れなどによってそこが詰まると、性能が落ちていきます。その当時は、実際に何年位大丈夫なのかが、モイスを使った食器棚が出たばっかりで、実績が無かったので、はっきりしていなかったのです。
その為、自信を持って勧めることはありませんでした。今でも同じ意見なのですが、スチームオーブンなどを置く場合に最も安心だと思うのは、スライドテーブルを引き出して使用する方法だと思っています。(じゃまですが)
モイスを使用した食器棚を購入する場合には、
- モイスがあとで取り外せるかどうかを確認
- 取り換える為の費用がどの位掛かるのかを確認
最低でもこの2点はお店で聞いておきましょう。